ワクチンの同時接種と副反応について
肺炎球菌結合型ワクチンは他のワクチンと同時に接種する「同時接種」ができるワクチンです。保護者の中には、1回の接種で、他のワクチンも一緒に接種することを心配に思う方もいるかもしれませんが、同時接種は現在、世界及び日本でも実施されている接種方法です。
同時接種で副反応が増えたり、強くなったりしないの?
一人のお子さんに、いくつかのワクチンを同時に接種することを同時接種といいます。同時に他のワクチンを接種することを、何となく怖いとか、大丈夫かなと不安に思われる保護者は多いかと思いますが、医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができます。
ここで区別しておきたいのは、あらかじめ数種類のワクチンが一つになっている混合ワクチンを1本接種することは、同時接種とは呼びません。
・同時接種は約20年前から世界中で実施されています1)。
同時接種は世界でも日本でも実施されています。日本では2008年から同時接種が行われるようになり、現在でも同時接種は継続して実施されています2)。
・同時接種して副反応が強くなったり、増えたりすることはありません。
ワクチンを接種した後に副反応は一定の割合で起こりますが、同時接種によって副反応の割合が増える訳ではありません2)。
そのため、現在、子どもに接種できるワクチンはどのような組み合わせでも接種できることが今までの研究で分かっています。また、1回で接種できるワクチンの本数には原則、制限がないことも分かっています2)。
・同時接種をするときは、接種する場所は一定の距離を空けるか、場所を変えて接種します。
いくつかのワクチンを同時接種する場合には、からだの別の部位に接種するか、同じ部位に接種する場合には一定の距離を空けて接種します。
たとえば、左腕、右腕、左の太もも、右の太ももなどです。
それぞれのワクチンは、単独で用いた場合に最適な効果と安全性のバランスになるように考えられた成分で作られていますので、一緒に混ぜて接種することはできません2)。
1)福田陽子,尾内一信:小児内科 Vol.45 増刊号:P118-119,2013
2)日本小児科学会:日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」総論A-03 2018年3月作成
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-03doujiseshu_202312.pdf 2024/02/22参照
・同時接種したときの局所の副反応が出る数は、1本ずつ接種したときと同じというイメージです1)。
お子さんが受けたそれぞれのワクチンで 「1」の副反応が起こると仮定した場合、4本を同時に接種した場合には、局所の副反応は「1+1+1+1=4」で「4」の副反応がおこることが考えられます。
これが同時接種によって「10」になったり、「100」になったりすることはありません。
4本のワクチンを別々のタイミングで接種しても、副反応の合計は「4」ですので、最終的に局所の副反応のリスクは同じになります。
同時接種にはどんなメリットがあるの?
・同時接種の4つのメリット1)
(1)接種した日から免疫がつき始めますので、より早く多くの病気から守られます。
(2)医療機関に行く回数が減りますので、保護者の方の時間的な負担が大幅に減ります。
(3)医療機関の時間的な負担を減らすことができますので、ワクチンを接種するお子さんや保護者が外来で待つ時間も減ることにつながります。
(4)ワクチンを同時に接種することで、それぞれのワクチンの接種を終えた人の数が早く、かつ多くなります。これは、社会全体からその病気を減らし、なくすことにつながります。
1)日本小児科学会:日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」総論A-03 2018年3月作成
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-03doujiseshu_202312.pdf 2024/02/22参照
監修:千葉大学真菌医学研究センター 感染症制御分野 教授 石和田 稔彦 先生
2024年9月作成 PRV45O003A