肺炎球菌結合型ワクチンの副反応
予防接種後、一定の期間内に様々な身体の反応や病気がみられることがあり、これをワクチン接種による副反応といいます。しかし、予防接種後の様々な身体の反応が現れる原因は、そのものによる副反応の他に、偶然に発症、発見された病気や症状であることがあります。実際にはワクチンの副反応であるかどうか判断することがむずかしい場合も多いのが現状です。
予防接種による副反応をなるべく起こさないようにするためには、接種前の健康状態を十分に把握し、調子の良い時に接種するようにしましょう。
肺炎球菌結合型ワクチンの副反応ってどんなものがある?
肺炎球菌結合型ワクチンを接種した後にみられる副反応の多くは、
・発熱
・注射部位の異常(腫れや赤みなど)
です。
副反応かどうか心配な場合は接種を受けた医療機関の医師に相談するようにしてください。またまれですが、ショックやアナフィラキシー様反応[呼吸困難や全身性のじんましんなどを伴う重いアレルギー反応]などの重い副反応が報告されています。
接種後30分以内は特に注意深い観察が必要なので、病院で様子をみるか医師とすぐ連絡のつくところにいるようにしてください。
自宅で接種後にこんな症状が見られたら?
・発熱
肺炎球菌結合型ワクチンを接種した当日や翌日に、自宅で37.5℃以上の熱が出ることがあります。普段と様子が大きく異なるときや、発熱が3日以上続くなど、心配な場合はかかりつけ医に相談してください。
・注射部位の異常(腫れや赤みなど)
注射した部位が、自宅に帰ってから腫れたり、赤くなったり、あるいは硬くなったりすることがあります。一般的にワクチンを接種したときの赤みや腫れは3~4日で消えるとされています。注射部位の異常が目立つときや、その他心配な場合はかかりつけ医に相談してください。
副反応に関するQ&A
監修:千葉大学真菌医学研究センター 感染症制御分野 教授 石和田 稔彦 先生
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Q. ワクチンの接種による「副反応」ってどういう意味?
A. ワクチンの場合には、ワクチンの接種によって体に免疫反応が起こり、それによって感染症の発症を防ぐ免疫ができます。この免疫ができる以外の反応(例えば、発熱 ・ 注射部位の腫れなど)が発生することを「副反応」という用語を用いています1)。
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Q. ワクチンの「副反応」と、薬の「副作用」は違うの?
A. 病気の治療に薬を使ったときに、本来の薬の作用とは異なる別の作用や、体に良くない、患者さんにとって不都合で有害な作用が起こったときに使われる言葉が「副作用」です。
一方、ワクチンの接種によって体に免疫反応が起こりますが、免疫ができる以外の反応(例えば、発熱 ・ 注射部位の腫れなど)が発生することについて、「副反応」という用語を用いています1)。
そのため、ワクチンの「副反応」と薬の「副作用」は意味が異なります。 -
Q. ワクチンの「有害事象」って何?
A. 薬もワクチンも、使用後に副作用あるいは副反応の他に、たまたま何かの原因によってある事象が起こることがあります。例えば薬をのんだり、ワクチン接種をした後に、食べ物が原因で嘔吐をしたり、虫に刺されて腫れたり、別の病気が原因で熱が出たりすることもあります。実際には、その原因はわからないことも多いのですが、それらをすべてまとめて、「有害事象」と呼びます。
つまり有害事象には、その薬やワクチンとの因果関係が明らかなもの、不明なもの、他の原因によるものがすべて含まれます1) 。 -
Q. 肺炎球菌結合型ワクチンの副反応にはどのようなものがある?
A. 肺炎球菌結合型ワクチンを接種した後にみられる副反応の多くは、発熱、注射部位の異常(腫れや赤みなど)です。副反応かどうか心配な場合は接種を受けた医療機関の医師に相談するようにしてください。
またまれですが、ショックやアナフィラキシー様反応[呼吸困難や全身性のじんましんなどを伴う重いアレルギー反応]などの重い副反応が報告されています。接種後30分以内は特に注意深い観察が必要なので、病院で様子をみるか医師とすぐ連絡のつくところにいるようにしてください。 -
Q. 肺炎球菌結合型ワクチンの「副反応」で、何度ぐらいの熱が出る?
A. 肺炎球菌結合型ワクチンを接種すると、37.5℃以上の熱が出ることがあります。
発熱のほとんどは接種した当日や翌日に認められます。 -
Q. 肺炎球菌結合型ワクチンを接種した場所(部位)にはどのような副反応が出る?
A. 注射した部位が腫れたり、赤くなったり、あるいは硬くなったりすることがあります。一般的にワクチンを接種したときの赤みや腫れは3~4日で消えるとされています。この状態が1か月後でも残る場合もあります。注射部位の異常が目立つときや、その他心配な場合はかかりつけ医に相談してください。
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Q. 肺炎球菌結合型ワクチンを接種した場所(部位)への副反応はどのぐらいの割合で出る?
A. 注射した場所が赤くなったり、腫れたりすることはよく起こり、約70%のお子さんにみられます。
これらの局所の反応は軽く、自然に回復します2)。 -
Q. 肺炎球菌結合型ワクチンを接種した後、全身への副反応はどのぐらいの割合で出る?
A. 全身的な副反応として、発熱、きげんが悪くなる、うとうとするなどが、約10〜20%認められます2)。
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Q. 肺炎球菌結合型ワクチンを接種した後の「アナフィラキシー」って何?
A. ワクチンも薬剤の一種ですので、まれにアナフィラキシーというアレルギー反応が起こることがあります。ワクチン接種後は接種した医師から「30分くらい医療機関内で待機するように」、または「連絡がとれるようにしておくように」という指示がありますが、それは万一アナフィラキシー反応が出た場合でもすぐに対応できるようにしておくためです。
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Q. 肺炎球菌結合型ワクチン接種後に気になる症状が出たらどうしたらいいの?
A. 腫れが目立つときや発熱が続くときなど、肺炎球菌結合型ワクチンの接種後に気になる症状がある場合は、接種をおこなった医療機関にご相談ください。
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Q. 肺炎球菌結合型ワクチンの1回目を接種して副反応が出たら、2回目も出やすい?
A. 1回目のワクチン接種で発熱したり接種部位に腫れが生じた場合、同じワクチンの2回目接種でも同様のことが起こる可能性があります。この場合、予防接種を受けずに肺炎球菌に感染して重篤になるリスクの重さと比べて、接種するかどうかを総合的に判断する必要があります。かかりつけの医師に、まずは相談してみましょう3)。
1)日本小児科学会:日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」総論A04 2018年3月作成
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-04hukuhannou_202312.pdf 2024/02/22参照
2)日本小児科学会:日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」各論No.10-19,22 2018年3月-2020年10月作成・改訂
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_B-02haienkyukin_202312.pdf 2024/02/22参照
3)日本小児科学会:日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」総論A-05, 2018年3月作成
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-05wakuchin_202312.pdf 2024/02/22参照
監修:千葉大学真菌医学研究センター 感染症制御分野 教授 石和田 稔彦 先生
2024年9月作成 PRV45O003A