肺炎球菌について
肺炎球菌ってどんな菌?
ふだん小児科に来る子どもの
病気の原因として、もっとも多い菌のひとつです。

肺炎球菌は名前のとおり、大人では肺炎になることが多いのですが、2歳以下の子どもの場合、肺炎のほかにも中耳炎や、菌が脳を包む膜にまでにいく細菌性髄膜炎というこわい病気になることがあります。
また、肺炎球菌はまわりにとてもかたい殻があるので、からだを細菌から守ろうとはたらく白血球によってやっつけることがむずかしい、毒性の強い菌です。
子どもはふつう、肺炎球菌をもっていないの?
肺炎球菌は子どもの多くが
ノドや鼻の奥にもっている、とても身近な菌です。
生まれたばかりの赤ちゃんは肺炎球菌をもっていませんが、ほかの赤ちゃんと遊んだり、保育所に通うようになったりすると、いつのまにか菌をもらってしまう可能性が高くなります。菌をもっていてもかならず悪さをするわけではありませんが、月齢の低い子どもほど肺炎球菌への抵抗力が弱いため、肺炎球菌の病気にかかりやすいといわれています。
肺炎球菌がこわいのはナゼ?
ときに命にかかわる病気や、
後遺症が残る病気にかかることがあるのでこわがられています。
肺炎球菌はいつもは子どものノドや鼻の奥にいておとなしくしていますが、体力や抵抗力が落ちたりといった何かのきっかけでからだの中に入りこむと、中耳炎や肺炎、さらにこわい菌血症や細菌性髄膜炎になることがあります。菌血症とは、菌が血液の中に入りこんだ状態で、細菌性髄膜炎のひとつ前の段階にあたります。
子どもが肺炎球菌をもっているかどうか調べることはできる?
ふつうは、何かの病気になったときに検査をします。
肺炎球菌をもっているかどうかは、子どものノドや鼻の奥の菌を調べればわかりますが、ふつう、健康なときに検査することはありません。気管支炎や肺炎、中耳炎など、肺炎球菌やそのほかの細菌感染が考えられる病気にかかったときや、菌血症や細菌性髄膜炎のような症状があったときに、医師の判断で血液検査などの検査を行います。
肺炎球菌は子どもが当たりまえにもっている菌なのに、何がきっかけで病気になるの?
病気になるきっかけはさまざま。
いつ、だれにおきてもおかしくありません。
肺炎球菌による中耳炎や肺炎は、カゼなどをきっかけになることが多いのですが、菌血症や細菌性髄膜炎は必ずしも何かのきっかけがあってなるというわけではなく、菌をもっていればいつ、だれが病気になってもおかしくないといえます。特に体力や抵抗力が落ちたときは注意が必要です。
耐性菌って何ですか?
耐性菌による病気にかかってしまうとなおらないの?
耐性菌とは、薬が効きづらくなった菌のことです。
耐性菌とは、菌をやっつけるための薬(抗菌薬)が効きにくくなっている菌のことです。これまで、日本では子どもの発熱時などに抗菌薬を多く使ってきたことから、薬が効きづらくなった肺炎球菌が増えています。耐性菌に対しては薬の量を増やしたり、新しい薬を使ったりすることで治療できますが、病気にかかってから治療するよりは、かからないことが何より大切です。そのためにも、ワクチンで予防をしましょう。
子どもの肺炎球菌ワクチンは日本だけのもの?
子どもの肺炎球菌ワクチンは
すでに世界100カ国近くで取り入れられています。
子どもの肺炎球菌ワクチンはすでに世界100カ国近くで取り入れられ、10年まえに発売されて以来、世界で何千万人もの子どもに接種されています。日本はむしろワクチンを取り入れるのがおくれているのですが、日本に入ってくるワクチンは、世界で標準的に使われているワクチンと同じものになります。なお、子どもの肺炎球菌ワクチンについては、WHO(世界保健機関)がすべての国での定期接種をすすめています。
子どもが肺炎球菌をもっていても、
ワクチンを打てば病気は防げるの?
ワクチンが対応している肺炎球菌による病気は、予防できます。
肺炎球菌にはいくつかの種類があり、すべての種類についてワクチンが対応しているわけではありませんが、アメリカでは、ワクチンが対応している種類の肺炎球菌の病気は90%以上減っています。さいわい、ワクチンが対応していない種類の肺炎球菌の病気は多くないといわれているので、ワクチンによる予防がとても重要になってきます。
肺炎球菌ワクチンを受ければ、
細菌性髄膜炎を防げるの?
肺炎球菌ワクチンだけでは、
細菌性髄膜炎は防げません。
子どもの細菌性髄膜炎のおもな原因には、インフルエンザ菌b 型(Hib:「ヒブ」と読みます)と肺炎球菌があります。この2つの菌が細菌性髄膜炎の原因の約80%を占めていますが、どちらもワクチンがあり、それがHibワクチンと子ども用の肺炎球菌ワクチンです。細菌性髄膜炎の大部分を予防するためには、この2つのワクチンを両方とも受けましょう。
ただ、生まれて間もない赤ちゃんの場合、大腸菌やGBS(B 群溶血性連鎖球菌)が原因で細菌性髄膜炎になることがあり、残念ながらこれらはワクチンでは防げません。